はじまりの物語

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もともとは、ITガジェットの輸入を中心に、アジア各地を飛び回っていた。
当時はスマートデバイスの黎明期で、深圳や広州、香港の展示会を歩くたびに、新しい製品が次々と並んでいた時代だ。

そんな中で偶然出会ったのが、初期のLEDビジョン。
日本でも少しずつ導入が始まっていたころで、間近で見たその鮮やかさに、
これが街の景色を変えるかもしれない、と強く思った。

中国視察行脚のころ

それ以降、渡航のたびにLED関連の展示を追いかけるようになり、
気づけばいつもその技術の進化を探していた。海外ではすでにデジタルサイネージが当たり前になっており、日本にもすぐに広まるだろうと強く確信した。

そうなると、もうワクワクが止まらない。気になったものは実際に見て、触れて、確かめずにはいられない性分である。どうすれば「いいLEDビジョン」を日本で提供できるか、そのことばかり考えるようになっていた。

ガジェット時代の工場視察で、中国の企業体質にはある程度通じていた。
粗悪なコピー品を平然と出すところもあれば、
研究や設備に真剣に投資する企業もある。
ラインに立つスタッフの身なりやオフィスの雰囲気を見れば、
その会社の本気度はある程度わかる。

中国メーカー視察

それでもLEDは、自分にとって未知の領域だった。
繊細な製品であることだけは理解していたから、
品質を見極めるには、実際に生産現場をこの目で確かめるしかないと感じていた。

当時、貿易で雇っていた現地スタッフの手を借りながら、
アポイントを取りつけて訪問した企業は十数社にのぼった。LEDビジョンを扱う会社は数え切れないほどあったが、
製品の仕上がりも、対応の丁寧さも、アフターケアの体制も、
驚くほど差があった。

試行錯誤を重ねた末に、品質を最優先で選んだ一社の製品で、
ようやくLEDビジョンのビジネスをスタートさせた。その社の製品を導入したクライアントでは不具合もなく、安定した運用が続いていた。ただ、この企業はやがて経営が迷走しはじめ、次第に品質の安定が保てなくなっていく。扱う製品にも不具合が見えはじめ、提供する側としての不安が少しずつ大きくなった。

その頃、中国では多くのメーカーがLEDビジョン事業に参入しはじめ、毎日のように営業のメールや電話が届いていた。
玉石混交なのはわかっていたから、どれもまともに取り合わなかった。

ある日、入社したばかりの社員が、そのうちの一件をそれとは知らずに取り次いできた。
緊張しながら取り次いだ気持ちを無碍にしたくない。とりあえず話を聞くことにした。その相手が、のちにパートナーシップを結ぶことになる企業だった。

後から思えば、あの偶然には人の想いが宿っていた気がする。

そのとき、試しに採用したそのメーカーの製品が想像以上に安定していた。
すぐに社員とともに中国の本社を訪れ、製造現場を直接確かめた。

広いテスト環境、整った設備、そして経営層の誠実な姿勢。
これまで積み重ねてきた経験から、この会社なら信頼できると確信した。

中国メーカー視察

丁寧に話を重ね、正式にパートナーシップ契約を結ぶ。
いまでは、ホットラインを通じて連携を続けながら、
安定した協力体制を築いている。

メーカーとの関係を大切にしているのは、
その信頼が日々のサポートや品質に直結することを、何度も経験してきたからだ。
価格だけで取引先を変えるようなやり方では、
本当の意味で信頼を築くことはできない。製品の課題に向き合う姿勢や、要望に応じた提案、
細かな調整のひとつひとつに、普段の関係の深さが表れる。
そして、自社のものづくりは、最先端の技術を持つ中国メーカーとの確かな連携に支えられている。

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