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対談:新しい出会いから生まれたもの


フレスポ若葉台の#ヒトフミ のプロジェクトでは、フラクトたきコーポレーション様とタッグを組み、コンテンツを制作をしました。当社にとってこの出会いは非常に重要で、WONTOP LEDに新しいドラマをもたらしてくれたと感じています。

今回は対談形式で、フレスポ若葉台 #ヒトフミ のプロジェクトの裏側にある両社の想いをお届けいたします。ぜひお付き合いください。

國井 丈嗣 (くにい たけひで)

株式会社たきコーポレーション 執行役員 / ZERO カンパニー副代表



グラフィックデザイナーとしてキャリアをスタートし、ゲーム事業部やWEB事業部での実務を経験したのち、2010年に執行役員に就任。その後は海外事業への進出や海外でのインスタレーション展示などさまざまな事案に携わりながら、執行役員兼現役クリエイティブディレクターとして社内外で活躍。

石丸 晋如 (いしまる しんすけ)

ZERO テックラボ テクニカルディレクター/プログラマー



2015年より現職のたきコーポレーションに入社。フロントエンドと2D/3Dグラフィックスプログラミングを専門とし、たきコーポレーション ZERO テックラボでテクニカルディレクター兼プログラマーとして活動。Web、インスタレーション、ゲーム分野において、技術とクリエイティブの橋渡し役を務める。


株式会社たきコーポレーション ウェブサイト

たきコーポレーション

伊東 伸太郎 (いとう しんたろう)

フラクト株式会社 代表取締役



貿易業からLEDビジョンへ辿り着き、その圧倒的な可能性に魅せられ2020年7月にフラクト株式会社を創業。単なるハードではなくその先のコンテンツが映像体験の核と確信し、技術力×発想力のソリューションを創造。LEDビジョンとコンテンツを両輪とし、「空間をデザインする体験」を提供するプロとして挑戦を続けている。

東 菜摘 (あづま なつみ)

フラクト株式会社 映像制作ディレクター



伊東より「LEDの魅力」について2時間の猛プレゼンを受け、2021年2月入社。映像制作の責任者として、制作ディレクターとして従事している。「心が動くコンテンツづくり」をモットーに、世界中のLEDビジョンコンテンツを調査し、新しいコンテンツの企画・ディレクションを行っている。


フラクト株式会社 ウェブサイト

株式会社フラクト
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全てのタイミングがぴったりな出会い


両社がタッグを組むことになったきっかけは?

國井(たき): 心臓の鼓動をデータ化するコンテンツを見てもらって、御社が取り組もうとしていることと当社がやっていることの方向性があうから相談したい、という話を東さんからもらったんですよ。


東(フラクト): この動画を見て「なんだろうこれは?!」となりました。インタラクティブコンテンツについて調べていて、こんな斬新なことをしている企業があったんだ、と思って貴社に問合せをしました。今まで、インタラクティブコンテンツって、商業施設によくある、ディスプレイに自分が映るようないわゆるゲームっぽいコンテンツしか知らなかったんですよ。

國井(たき): 当社はデザイン会社なので、インタラクティブコンテンツの問合せがなかなか来ないんですよ。専門の会社と同じことできるのになぁと、指を咥えて待っていたんです(笑)

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國井(たき): そんなときでした、東さんから問合せをもらったのは。大手のイベント会社などは決まったパートナーがいるので、ハードウェアの会社と組めるといいかもね、という話をしていた時だったんです。本当にタイミングがぴったりでした。

伊東(フラクト): LEDビジョンの販売をしていると、コンテンツも作ってください、というご要望がでてくるんです。普通の広告動画ではおもしろくなくて…。東にコンテンツ制作のディレクションを任せました。

僕もこれまで多くのクリエイターや制作会社と出会って、綺麗な映像や驚くような発想が日々生まれているのは知っています。でも、どれも「おさまりよくまとまってるな」という印象が拭えなくて。 LEDを扱ううちに、ハードと融合するコンテンツの「質」や「方向性」への感覚が、どんどん研ぎ澄まされてきたんだと思います。単に「映像が作れます」みたいな型通りのキレイゴトじゃなく、たきさんのように、”何かを突きつけてくる”ようなコンテンツでないと、僕たちは動かされない、本気で組めない。 だから東がたきさんを見つけたときの手応えは、本当に大きかったですね(笑)。

東(フラクト): 多くのLEDビジョンは、同じ映像をずっと流すだけになってしまいがちです。去年のデジタルサイネージアワードの受賞者のコンテンツを見たり、インタラクティブコンテンツの案件でなかなか提案ができなかったりという経験を経て、これからは見るだけの映像ではダメだと感じました。そこで、ひたすらネットで「インタラクティブ+●●」と、たくさんのキーワードで調べ、コンテンツを大量に見る中で御社に辿りつきました。いろいろとお話を伺い、フレスポ若葉台のコンテンツ制作についてご相談しました。

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「ちょうどいい」コンテンツを追求する


フレスポ若葉台でのコンテンツ設計の工夫を教えてください

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國井(たき): フレスポ若葉台は駅前商業施設であること、新規顧客が多く来るのではなくて、地元の人たち、とくに何回も来るお母さんや子どもたちが多いというのが大前提だと思うんですね。その人たちが、コンテンツを見ていて1回目のインパクトがすごく強いと、3回目・4回目くらいから煩わしくなるんじゃないかな、って思ったんですよ。毎晩コテコテのパスタ、食べさせられるみたいな。

伊東(フラクト): なるほど。

國井(たき): お母さんや子どもたちが、ちょうどよく楽しめる塩梅が必要だなっていうのが僕の中では大事にしていたことでした。よくクライアントとの打ち合わせの中でも、「もっと面白くできないか」「もっと迫力のあるものを」っていう話が出るのですが、もしそのまま飲み込んでつくってしまうと、本当に飽きちゃうんですよね。

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東(フラクト): ちょうどいいってすごく難しいですね。

伊東(フラクト): 難しい!経験がないと「ちょうどいい」のジャッジはできないからね。

國井(たき): 広告って、大概にしてもっともっとになるんです。もっと強い表現ないのとか、でっかくして、赤くしてみたいな。moreになりがちなんですけど、受ける側からすると、それってどうなの?ってところに陥る。お客さんのやりたいことと、受けたお客さんの気持ちに立って、進めなきゃいけない。

東(フラクト): 私たちも、もっともっとって言われることの方が多いですよね。やっぱりお客さんも想像できないから。ちょうどいいところを私たちの方でも提案できるようになっていきたいなと思います。

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「ちょうどいい」からこそ、子どもたちが自ら遊び始める


想像していたシーンが現実になった瞬間はどう思いましたか?

石丸(たき):今まで子ども向けのコンテンツをつくってきて感じたことは、シンプルな仕組みでも、子どもたちはいろんな楽しみ方をしているなということです。いろんな遊びを考えて、僕らが考えもしなかったような使い方をします。フレスポ若葉台でのコンテンツは割とシンプルですが、このくらいのインタラクションがちょうどいいんだろうなと思っていました。

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石丸(たき):実際に想像通りになったんですけど、子どもたちが寝転がって、自由に遊んでいる姿を見て、ほっとしました。

東(フラクト):魚をすくって、親にプレゼントしている子どもがいたんです。小さい魚をお母さんに、大きい魚をお父さんにあげて。子どもの想像力の豊かさにはびっくりしました。しかも二人くらいいたんです。あと、ナマズとおしゃべりしている子がいて。お母さんに「この子はなんていってるの?」と聞いて、お母さんがナマズになりきって「おかえり」って言ってあげるんです。

石丸(たき):いい話ですね。

伊東(フラクト):意外と壁面を飛ぶ蝶を追いかけるんです。インタラクションのある床だけじゃないんですよね、遊びになるポイントが。

石丸(たき):何かを追いかけている子が多かったですね。

國井(たき):コンテンツを体感するということが、段階的になっている気がするんですよね。まず空間に入っている雰囲気を楽しんで、次にインタラクティブな動きをする魚や、蝶や鳥の動きを見て楽しむ。この流れがとても自然になっている。そして、包み込むような形状のLEDビジョンとコンテンツのバランスも良かった。このちょうどよさが、LEDビジョンの空間で「自然な振る舞い」になっているんだと思います。

國井(たき):もし、インタラクティブな水面の動きがバッシャーンってなるような大きな反応だと、子供達が床を踏みまくるという行動が多発してしまったのではないかと思います。

東(フラクト):國井さんが最初から言っていた、「目的を定めないコンテンツのほうが絶対良い」というのは、まさにそういうことですよね。

國井(たき):そうですね。ゴールをつけちゃうとそこに向かっちゃう。そういうコンテンツなら、一人で楽しむゲームの方がいいんですよ。フレスポ若葉台では「みんなで触れるもの」という方向性だったので「遊び場」をつくりました。あとは自由にお使いください、みたいな感じのほうが成功すると思ったんです。

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仮想空間から現実世界へ飛び出す衝撃


初めてLEDビジョンに映る様子を見たときはどう思われましたか?

國井(たき):そうですね。僕らはパソコンという小さな画面の仮想現実の中でコンテンツを制作しています。なので、自分たちのつくったものを大きなLEDビジョンに映してみて、僕と石丸さんは「デカい!デカい!」と連呼していました(笑)。

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石丸(たき):これまで作っていたものと全然スケールが違っていたので…。自分が制作したコンテンツに包まれたのは初めてですね。

國井(たき):つくったものが現実世界に入り込んでいくと、現実世界のサイズと照らし合わせることができる。例えばリンゴが目の前のLEDに映った場合、いつも見ているリンゴの大きさだと、リアルに感じるはずなんです。それがちょっと大きいと「でっかい絵」を見せられていると感じてしまいます。触れられる距離のコンテンツの場合、現実感というかリアル感みたいなもののは、やっぱり「原寸」で表現するというのは大事ですね。

石丸(たき):今まで原寸っていうのは無かったですね。

伊東(フラクト):わたしの場合は、ただただ「綺麗!」でしたね。光の入り方というか、夕焼けの照らされ方もそうだし、水の動きもそうだし、ここまで再現できるのか、と。本当に感動でした。ハードの話になるんですけど、今回のLEDビジョンは、ピッチ2.5ミリで、解像度とコストの面で今一番ちょうどいいスペックなんですよ。ただ、すでにもう1.2ミリとかさらに高解像度の製品が市場に出る状況がそこまで来ているんですよね。フレスポ若葉台の環境で、もしピッチ1.2ミリだったら、どれだけ綺麗なんだろう…という未来の想像をしていました。現実世界にいるような没入感をどこまで追求できるのか、とも思っていました。

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國井(たき):見る距離の近いコンテンツをやっていると、確かにピッチ1ミリ台はどんなんだろうとか思いましたね。小さい魚の表現は難しいかもしれないんですけど、大群とかだと面白そうですね。

東(フラクト):ご提案いただいた時の資料で、多分こういう感じになるんだろうなって想像はできていたんです。できてはいたんですけど、現実になった瞬間、想像の500倍が没入感があって、もう、何て表現したらいいか分かんないぐらい素晴らしかったです。私が入社した時って、本当に「こういう比率で広告を出す」っていう使い方しかされてなかったんですよね。そういうものしか求められてなかったし、そういうもんだと思ってたので。だけど、海外でそういう違うインタラクティブとかクリエイティブな使い方があるっていうのを知った日から、いつかクリエイティブなコンテンツを出したいってずっと夢物語で考えていたので、それがようやく実現できたのはすごい感動でした。

國井(たき):最初、「匂いがします」って言ってましたもんね(笑)

東(フラクト):大げさではなくて、没入感のある映像と音で、本当に何か草の匂いがしました!

國井(たき):でも、なんかわかります。あのLEDビジョンの大きさとコンテンツが一体になっていないと、そうは感じられない。次はより匂いがするようなコンテンツにしましょう。

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地域と空間の調和は大人も引き寄せた


訪れるお客さまの反応はどうでしたか?

東(フラクト):子どもたちはもう楽しんでくれていましたが、大人の反応も良かったです。ご年配の方や、子ども連れでない大人も、興味を持って見に来てくれる方がたくさんいました。季節によって映像が違うことをお伝えしたら「違う季節も見たいからまた来るわ」っておっしゃってくださる方もいて。そういう生の声を聞けて嬉しかったです。

伊東(フラクト):大人一人で来られて、床のインタラクティブの反応を見ている方もいましたよね。その行動は結構貴重で。子どもが遊んでいるところに立ち入るなんて、相当興味がないとそんな行動はしないはずなんです。

國井(たき):恥ずかしい、みたいな。

伊東(フラクト):そうです。そっちが先にきちゃうんで。

石丸(たき):子ども連れではないお客さまが、うるさいなと目を背けることがなくて、何かなと興味を示して、ちょっと触ってくださる。LEDビジョンを設置した場所を考えると、空間に調和したコンテンツで本当によかったなって思いました。

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國井(たき):リアルにしないのもよかったですね。リアルな映像だと、表現じゃなくディティールに目が行ってしまう。「自然の風景です」「水辺があります」という最低限の記号でデザインされていると、シンプルに感じれるだと思うんですよ。フレスポ若葉台という場所的にも、それで良かったなって。

東(フラクト):子どもの想像力も掻き立てられますね。

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「想像がつき始めた」ことでプロジェクトが一気に進んだ


今回のプロジェクトで苦労されたことはありますか?

東(フラクト):コンテンツが決まったのが2024年の12月だったと思うんですが、それまでコンテンツがなかなか決まらなかったじゃないですか。床インタラクティブの事例が国内になかったせいもあるんですけど、なかなか理解を得られなくて。

東(フラクト):東京でプロジェクトメンバーが集まった時に、國井さんの方から実績を踏まえて色々説明していただいて、そこで感覚が一致したと思っています。あの一回ってすごい大きかったなって。

國井(たき):事例がない場合に「どう伝えると理解していただけるのか」という点が難しかったですね。

國井(たき):目の前で「なるほどな」とは理解しているけれども、何か決断するボタンのようなものが欲しいんだなというのをすごく感じたんです。ただ、一人の方が徐々に想像がつき始めて、こういう風にしたらいいとか、リアルじゃなくてオリジナル感を出したいとか意見が出てきたので、これなら大丈夫かなと思いました。

東(フラクト):あれがまさに動いた瞬間、プロジェクト成功のカギでしたね。

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ハード+ソフトのチームが作る未来


2社のタッグはどうでしたか?

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伊東(フラクト):うちはハードは提供できるけど、結局そこに「どういうコンテンツを映すか」という課題にずっとモヤモヤしてきました。いくらスペックがいいハードを用意したところで、お客さんが見るのはコンテンツだから。ハードを見るわけじゃないから。うちとしては何を映すのかという点に、すごくこだわってきました。ただ、それが自社内では実現できるものではなくて。たきコーポレーションさんと組めたことで、まさに「ハードだけではできなかったこと」を実現させましたね。

國井(たき):僕らもそうですね。絵描きはいるけど、キャンパスが無いみたいな。小さいキャンパスにいつも描いてて、それを売ってたんです。それが「大きいのに書いていいよ」ってことですよ。

石丸(たき):はい…うれしくて(笑)

國井(たき):キャッキャしちゃった(笑)

このタッグで新しいドラマは生まれそうですか?


東(フラクト):次のプロジェクトの予定もありますよね。

國井(たき):特殊な場所で、LEDビジョンの形状も特殊だからこそ、適切なものを出さなきゃなってすごく思っているんです。こうじゃないといけないという決まりはない。どこにあるのか、どういうお客様にどうなってほしいのか、ちゃんと考えて設計できればすごくいいものができると思います。

國井(たき):フレスポ若葉台の場合は圧倒的なインパクトではなくて、永く見てもらえるかが重要でした。次は圧倒的なインパクトもあって、記憶に残さなきゃいけない。フラクトさんのハードという得意分野と、僕らがつくるソフトで、その場所にあったベストな「答え」をつくっていくのが大事になってきそうですね。

東(フラクト):どの案件でもそうですね。どの場所にあるのかっていう目線って、今まで私たちの中にはあまりなかったです。

國井(たき):フラクトさんは、「心が動く」ところを大事にしていらっしゃるじゃないですか。僕らも結局そこなんです。ドキドキするもの、ワクワクするものを、というのは言葉では簡単ですけど、やるのは大変。両社の想いとコンテンツが合わさってみんなが笑ってくれる未来をつくれたらとてもいいですよね。

伊東(フラクト):ちなみに。日本でも日々いろんな作品が発信されているわけじゃないですか。お二人から見てどうですか?

國井(たき):表現としてはもっとできると思いますね。

伊東(フラクト):そうなると、今世の中にというか日本に流れているものって、そんなに大それていない?

國井(たき):そうですね。まだまだだということだと思います。

伊東(フラクト):そしたら「可能性」しかないってことじゃないですか(笑)

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最後に…


フラクトへの印象を教えてください

國井(たき):やっぱり一緒に仕事して面白いかどうかはあると思うんですよね。でも、伊東さんは絶対お酒飲むだろうなと思って楽しみにしていたのに、全く飲まない。好きなものがグミって(笑)

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